ドクガク先生のブログ企画の季節がやってきました。
今年も「弁理士の日記念ブログ企画2023」に参加させて頂きます。
2023年の企画はどんな内容ですか?
弁理士が日々直面する業務にフォーカスが当てられたドラマでしたね。
知的財産を取り扱う職種のみなさんは、かなり注目をされていましたね!
今回は、企画に沿って、知財の世界が描かれたドラマや小説の話題作を紹介してみたいと思います。
本記事の内容
(1)知財が描かれた作品
下町ロケット | 2011年 | NHK |
太陽の罠 | 2013年 | NHK |
釣りバカ日誌2 | 2017年 | テレ東 |
陸王 | 2017年 | TBS |
まんぷく | 2018年 | NHK |
下町ロケット | 2019年 | TBS |
スパイラル~町工場の奇跡~ | 2019年 | テレ東 |
半沢直樹2 | 2020年 | TBS |
アトムの童 | 2022年 | TBS |
ムチャブリ | 2022年 | 日テレ |
ユニコーンに乗って | 2022年 | TBS |
七人の秘書スペシャル | 2022年 | テレ朝 |
クロサギ | 2022年 | TBS |
それってパクリじゃないですか? | 2023年 | 日テレ |
(2)どんなテーマで描かれているのか
ひとことで「知財がテーマで描かれていた」とまとめてしまうには惜しいので、それぞれの作品がどのような知財の世界を描いていたのか、いくつかご紹介したいと思います。
まずは、この方を抜かしては語れない、池井戸潤さんの作品から。
『下町ロケット』『陸王』『半沢直樹』などがありますが、特に『半沢直樹』は最高瞬間視聴率40%を超えるほど人気のドラマでした。
端的にテーマとなった知財を記載しますと、『下町ロケット』では、特許権侵害訴訟、知的財産契約(売買や使用権)、『陸王』では、知財(営業秘密)管理、オープン・クローズ戦略、死蔵特許リスク、『半沢直樹』では、知的財産契約が粉飾決算と並行して描かれました。
『下町ロケット』|TBSテレビ 主演 阿部寛
『陸王』|TBSテレビ 主演 役所広司
『半沢直樹』|TBSテレビ 主演 堺雅人
2010年代には『釣りバカ日誌2』で職務発明が、『太陽の罠』でパテント・トロールを企む特許マフィアとの攻防と、知的財産権そのものが含有する主張できる権利と主張されうるリスクが物語に刺激を与える要素として取り入れられています。
『釣りバカ日誌 Season2 ~新米社員 浜崎伝助~』:テレビ東京 主演 西田敏行
『太陽の罠(わな)』 | NHKドラマ 主演 西島隆弘
朝ドラ『まんぷく』では、「日清食品」が「即席ラーメンの製法」特許を取得しているのですが、模倣品が販売され、模倣会社が先使用権の主張がをするという展開に、また製造ノウハウを持っている人材の流出といったトラブルが起きました。
『まんぷく』 | NHKドラマ 主演 安藤サクラ
『ムチャブリ』や『ユニコーンに乗って』では、特許技術の流出危機やその原因を作ったと思われる社員への疑いで社内に不和を発生させ人材の引き抜きを目論む競合他社の狙いを主人公たちが乗り越えていく困難として描かれました。
『ムチャブリ!わたしが社長になるなんて』|日本テレビ 主演 高畑充希
『ユニコーンに乗って』|TBSテレビ 主演 永野芽郁
『アトムの童』は現代の風潮を捉えた世界観で、天才ゲーム開発者が作り出した「アトムロイド」という特許に非常に高い価値があると考えた国内大手企業が廃業寸前の玩具メーカーから譲り受け、またその特許を狙う海外資本が参入、大手企業は実は海外への流出を止めようとする目的で、廃業寸前の玩具メーカーから譲り受けていたことがわかるという二重三重に登場人物の思惑が絡み合うドラマです。
『アトムの童(こ)』|TBSテレビ 主演 山崎賢人
昨今の世相を反映した詐欺事例が扱われた『クロサギ』では、知財管理会社が特許権侵害訴訟を起こし高額な和解金が見込めるとセミナーで吹聴、出資金を集め訴訟を起こしたとみせかけ、出資者からクレームが来る前に自社を倒産させるというやり口の詐欺が描かれ、逆手に取ったクロサギが権利の実体を把握する難しさを利用して詐欺を仕掛けるといストーリーです。
『クロサギ』|TBSテレビ 主演 平野紫耀
(3)ビジネスの核となる知財
知財にまつわるストーリーが大きな山場や展開を作る要素になっているのは、なぜでしょうか。
おそらく、実感として、知財戦略がビジネスの行く末を握るターニングポイントとなっていると、感じ始めている方が増えているからではないでしょうか。
ライバル会社と競争する武器として、資金難や障害を乗り越えるための企業の命運を握る重要なファクターとして、世界が小さくなった今、知財戦略に課題を抱えている企業が多いのでしょう。
まず、自社の「技術」を権利化すること、その技術を有効に活用していくこと、権利を侵害する者へ正当な主張を申し立てること。
そして、一方では「財産権」である側面を活かし、融資の有利な条件として評価を得ること、資金調達に繋げること、これらは現況では非常に難易度が高く、日本経済界全体に変革が必要かもしれません。
また、多様な労働環境(時間・場所・雇用形態・兼業・グローバル化)への変化に対応するため、特許技術の流出=人材・ノウハウの流出も喫緊の課題です。
知財は広義に解釈すると、世界共通の認識をもとに成立している分野です。
新興企業・大企業問わず、日本が世界をリードする技術をこれからも生み出し活かしていけるとよいですね。
(4)まとめ
今回は知財をテーマに描いた話題作のドラマに焦点を当ててみました。
見逃したドラマも知財からの視点で深堀りすることで、新たに興味が湧きました。
主演された俳優の面々も一流かつ人気俳優の方ばかりでした。
下請け工場や中小企業がもつ特許技術が惹き起こす大逆転サクセスストーリー、世界でのビジネスを目指す過程で知財トラブルに見舞われながら乗り越えていく若者の姿、どちらも知的財産の可能性に希望を込めた作品であり、また、時代の変遷に気づかされます。
これからはおそらくChat GPTなどのAI技術が知財へ大きな影響を及ぼすのでしょう。
知財はいつも時代の大きな波にいち早く影響をうけ、常に変化を求められ続けているのかもしれません。