こんにちはモチ湖です。
特許実務者であり、株式会社ジムウインの設立メンバーで社長です!中堅特許事務所でシステム管理者を兼任しています。
特技は、事務作業の便利ツールを発掘することです!
前回はおすすめのRPAの記事を紹介しました。
前回の記事はこちらです。
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特許事務におすすめのRPAを紹介【徹底比較】
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今回は、実際にRPAを導入する事例を解説していきます。
本記事を読めば、RPAを導入するにあたり準備すべき内容や注意すべきことを理解できます。
本記事は、これから特許事務にRPAを導入しようと考えている特許事務所の経営者にご参考になります!
本記事の内容
・RPAの導入にあたり注意すべき点 ・RPAの導入事例
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、特許実務者であり、中堅特許事務所でシステム管理者を兼任しています。これまでに、知財関係の便利ツールを発掘しています。
なお、RPAって何という方は過去記事で解説していますのでご参考ください。
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知財業務にRPAを活用するメリットとデメリット
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Contents
RPAの導入にあたり注意すべきこと
まずはRPAの導入にあたり注意すべきことをお話しします。
まずはRPAとは何か簡単に解説した後に、
導入を検討する方に抑えておきたいポイントをお話しします。
RPAとは
・ロボットによる業務自動化の取り組み
・事務作業を人間に変わって実行する技術
RPAの導入にあたり注意すべき点
RPAは、人間が行うあらゆる事務作業を自動化できるわけではないことに注意してください。
そのため、RPAはどんな事務作業をできるのかを理解しておく必要があります。
RPAができる事務作業は以下の3つです。
①複数のアプリケーションなどを跨ぐ作業
②決められた手順を繰り返す作業
③データ収集と定型書類の作成
上記の作業の中で、注目したいのは①です。
というのは、②と③についてはエクセルのマクロなどで自動化が可能であったのに対し、①は従来のマクロでは困難であるからです。
言い換えると、①はRPAが登場して初めて自動化が可能となった分野といえます。
RPAの導入事例
では、以下に具体例として年金納付の案内書の作成を紹介します。
年金納付の案内書の作成
①年金納付の案内リストを読み込みます。
※年金納付の案内リストの書面テンプレートはこちらの記事から入手できます。
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特許事務の書類作成のミスを防ぐ裏技【無料テンプレートつき】
続きを見る
②案内リストからテンプレート(input)に入力する項目を抽出します。具体的には、「出願人、法域、登録番号、名称、整理番号」を抽出します。
③足りない入力項目は、J-Platpatから抽出します。具体的には、登録料の計算基準となる「納付年次」、「請求項数/区分数」を抽出します。
④特許庁の手数料計算システムを使って、「次年度登録料」を算出します。
⑤ ②~④で抽出した項目をテンプレートのinputに入力し、別名で保存する。ファイル名は、整理番号+出願人とする。
⑥年金納付の案内リストのデータ数だけ、②~⑤を繰り返します。
動画はこちらです。
RPAは、Uipath社のものを使用しています。
RPAを導入前に洗い出し作業が必要
RPAを導入するために、
(1)RPAの得意分野に合致する定型業務の洗い出し作業と、
(2)洗い作業の後に、優先順位をつけて段階的にRPAを導入すること、
が必要です。
以下では、まず年金管理業務を例に説明していきます。
(1)洗い出し作業
例えば、年金管理業務において、以下の①~⑦のステップでクライアント向けの案内状を作成するとします。
①毎月1日に年金納付のお知らせを行う。
②期限管理ソフトで納付期限3月前の案件を検索する。
③担当弁理士に検索結果を渡し仕分けをしてもらう。
・納付期限を案内するものしないもの
・紙案内するものメール案内するもの
④納付期限を案内するものについて、各クライアントの案内状を作成する。
⑤作成した案内状に誤りがないかチェックし、問題なければ送付する。
⑥納付期限と返信の有無を監視する
⑦納付期限1月前までに返信がないものは再度案内状を送る。
ここで、以下のように洗い出し作業をしていきます。
①②⑥➤RPAの得意分野である「データ収集」
④➤RPAの得意分野である「定型書類の作成」「繰り返し作業」
これらが、RPA化の候補となりえます。
上記例では、「アプリケーションを跨ぐ作業」がありませんでしたが、例えば、クライアントから専用端末にデータ入力を頼まれているとき、事務所の期限管理システムと、クライアントの専用端末との両方にデータ入力をしなければならない場合などが、この「アプリケーションを跨ぐ作業」といえます。
なお、洗い出し作業は、繰り返しの定型業務を抽出できるだけではなく、今まで潜んでいた無駄な作業に気づきます。
例えば、上記③は、期限管理ソフトに、予めクライアント別に送付ルールを入力しておれば、毎回担当弁理士に確認せずに済むことに気づきます。
RPA導入を予定していない方も一度やってみるといいかもしれません。
(2)優先順位をつけて段階的にRPAを導入(スモールスタート)
洗い出し作業により、RPA化可能な業務が明確になると、どれから着手すべきかを考える作業を行います。
今ある業務全てを自動化するのではなく、段階的に進めるスモールスタートをおすすめします。
業務のRPA化など業務の大幅な運用変更は、現場からの抵抗が少なからず起こります。
そのため、現状の運用を変えずに、「やりやすいもの」かつ「結果がすぐに出せるもの」から優先的にRPA化を進めることをおすすめします。
上記の例では、④の案内状のRPA化が最優先といえます。
人間が苦手で時間がかかる作業なので、自動化によるメリットが伝わりやすくなります。
反対していた事務員の意識替わりのきっかけにもなります。
優先順位のポイントを以下にあげておきます。
1位 ミス防止などの効果が大きいもの
2位 結果がすぐ出るもの
3位 やりやすいもの
RPAの導入事例のまとめ
RPAの導入にあたり注意すべき点
・RPAができる事務作業を知ること
①複数のアプリケーションなどを跨ぐ作業
②決められた手順を繰り返す作業
③データ収集と定型書類の作成
RPAを導入する前のポイント
(1)RPAの得意分野に合致する定型業務の洗い出し作業と、
(2)洗い作業の後に、優先順位をつけて段階的にRPAを導入すること
なお、RPAの導入を検討しているけれど難しそうとか準備の時間がないという方に
RPAの導入のサービスを利用することをおすすめします。
株式会社ジムウインでは、リーズナブルな価格でRPAの事務効率化サービスを行っています。
詳しくはこちらです。
このブログではこれからもどんどん特許事務に役立つ情報を発信していきますのでご覧いただければと思います!