「こんにちはモチ湖です。
特許実務者であり、株式会社ジムウインの設立メンバーで社長です!中堅特許事務所でシステム管理者を兼任しています。
特技は、事務作業の便利ツールを発掘することです! 」
特許事務のような知財業務にRPAが導入されるとどういうメリットがあるの!? RPAを導入すると私たちって残業しなくてすむの!?」
こんな悩みを解決しています。
本記事の内容
・RPAとは!? ・知財業務にRPAを導入するメリットとデメリット ・特許事務にRPAを実際に導入した具体例を動画で紹介
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、特許実務者であり、中堅特許事務所でシステム管理者を兼任しています。これまでに、知財関係の便利ツールを発掘しています。
本記事は特に特許事務員の方や、開業弁理士で特許事務の不足に悩んでいる方にご参考になります。
本記事を読めば、「RPA」とは何かを理解でき、特許事務のような知財業務にRPAを導入するメリットとデメリットを理解できます。
Contents
RPAとは
まずはこうした疑問に答えます。
RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットによる業務自動化の取り組みを表します。
RPAでは、上の図のように、業務の自動化に取り組みます。
①人間が、業務の処理手順をパソコンやサーバ上にあるソフトウェア型のロボットに登録する。
②ロボットがクラウドなどさまざまなアプリケーションを横断して業務を行う。
ポイントは、人間は、ロボットに処理してもらいたい業務をパソコン上で操作すればよいことです。
あとはロボットが処理をしてくれるので、人間は処理したものを確認すればOKです。
ではRPAは知財業務の中で具体的にどういうことができるのでしょうか。
以下に説明します。
知財業務の中でRPAができることは!?
知財業務の中でもRPAに向いている知財業務は以下のとおりです。
①定型作業を繰り返すもの
②複数のアプリケーションなどを跨ぐ業務
①については、例えば、特許庁への書類の庁提出から管理システム登録までの業務が挙げられます。
・インターネット出願ソフトで庁提出するための書類の合成
・合成した書類のオンラインでの提出
・提出した書類のシステムへの登録
また、RPAでは複数のブザウザ・サービス・アプリケーションを跨ぐ業務も担当できます。
・クライアントへの請求書や年金納付の指示書の作成
・書類の作成で足りない項目はロボットがブラウザなどから自動取得することもできる
RPAは、知財業務の中でも特に特許事務の業務と相性がよいことがわかります。
知財業務にRPAの支援サービスを提供しているところとしては以下のところがあります。
知財業務にRPAを活用することはメリットもありますし、デメリットもあります。
以下ではメリットとデメリットを説明していきます。
知財業務にRPAを導入するメリット
知財業務にRPAを導入するメリットは以下のとおりです。
①特許事務員が長時間の単純労働から解放され、専門性が要求される業務に注力できる
②ヒューマンエラーを防止できる
③人件費削減ができる
順番に説明します。
①特許事務員が長時間の単純労働から解放され、専門性が要求される業務に注力できる
ロボットが単純労働を自動で処理してくれるため、特許事務員は長時間の単純労働から解放されます。
このため、特許事務員は残業をすることなく定時に帰ることができます。
開業したての特許事務所や、小規模の特許事務所で特許事務員を雇っていない弁理士は、実務の仕事に集中することができます。
また、人手による処理に比べて、スピードが速く品質も良くなるため生産性も上がります。
一方、RPAは、特許事務の仕事を全てできるわけではないため、特許事務の仕事が奪われるということは心配しなくてよいでしょう。
むしろ単純作業をロボットに任せ、特許事務員は専門性が要求される業務に注力できるようになります。
そのため、仕事の質が向上し、ひいては評価の向上につながる効果があります。
②ヒューマンエラーを防止できる
人間は集中力が低下するとヒューマンエラーが起こりやすくなります。
特に残業が多ければ多いほどヒューマンエラーは起こりやすくなるでしょう。
一方、RPAは設定された業務以外の行動は起こさないので、ミスが生じにくい。
さらに、RPAと人間がダブルチェックする体制にするとミスはさらに防げます。
③人件費削減ができる
特許事務員の残業がなくなるため、その分の人件費削減に貢献できます。
RPAを導入するためとその分使用料などのコストがかかりますが、人件費に比べると安くすみます。
このため、人件費削減により特許事務所に利益をもたらします。
知財業務にRPAのデメリット
一方、知財業務にRPAを導入するデメリットとしてどのようなものがあるかお話しします。
デメリットとしては以下のものが考えられます。
システム障害時に業務停止する
RPAは、ミスを防止することはできますが、災害や急なシステムトラブル等の何らかの機械に不具合が起きると業務自体が停止します。
ただし、不具合が起きるケースというのはレアなケースです。
デメリットとしては上のようなものがありますが、知財業務にRPAを導入することのメリットの方が大きいといえるでしょう。
知財業務にRPAを活用した例
では、ここで、実際に知財業務にRPAを導入した例を動画で公開します。
ここでは、知財業務として、年金納付の作成を例としています。
なお、動画に登場する出願人情報などはJ-platpatからランダムに抽出したものです。
ロボットは、下記の手順で自動処理を行います。
年金納付の案内書の作成
①年金納付の案内リストを読み込みます。
※年金納付の案内リストの書面テンプレートはこちらの記事から入手できます。
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特許事務の書類作成のミスを防ぐ裏技【無料テンプレートつき】
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②案内リストからテンプレート(input)に入力する項目を抽出します。具体的には、「出願人、法域、登録番号、名称、整理番号」を抽出します。
③足りない入力項目は、J-Platpatから抽出します。具体的には、登録料の計算基準となる「納付年次」、「請求項数/区分数」を抽出します。
④特許庁の手数料計算システムを使って、「次年度登録料」を算出します。
⑤ ②~④で抽出した項目をテンプレートのinputに入力し、別名で保存する。ファイル名は、整理番号+出願人とする。
⑥年金納付の案内リストのデータ数だけ、②~⑤を繰り返します。
動画はこちらです。
RPAは、Uipath社のものを使用しています。
知財業務にRPAを活用するメリットとデメリットのまとめ
RPAとは
ロボットによる業務自動化の取り組みを表したもの。
RPAでは、上の図のように、業務の自動化に取り組む。
①人間が、業務の処理手順をパソコンやサーバ上にあるソフトウェア型のロボットに登録する。
②ロボットがクラウドなどさまざまなアプリケーションを横断して業務を行う。
知財業務の中でRPAができること
①定型作業を繰り返すもの
②複数のアプリケーションなどを跨ぐ業務
知財業務にRPAを導入するメリット
①特許事務員が長時間の単純労働から解放される
②ヒューマンエラーを防止できる
③人件費削減ができる
知財業務にRPAを導入するデメリット
システム障害時に業務停止する
知財業務にRPAの支援サービスを提供しているところ
このブログではこれからもどんどん特許事務に役立つ情報を発信していきますのでご覧いただければと思います!