特許事務の仕事をこれまでに17年間しています。
特許事務以外にも得意の英語を活かして特許翻訳やOA対応まで担当しています!
どんな仕事をしているんだろう…
こんな悩みを解決しています。
本記事の内容
・外内特許事務とは!? ・外内特許事務の仕事内容 ・外内特許事務で注意すべきこととは!?
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、特許事務員として17年間特許事務所で働いた経験があり、外国特許事務に詳しいです。
こんな読者におすすめです
特許事務所への転職を考えている方
特許事務所で特許事務をしている方
本記事を読めば、外内特許事務の仕事内容を理解できますよ。
外内特許事務とは!?
国内(内内)特許事務・外国(内外)特許事務・外内特許事務の3つです。
大きな特許事務所では特許事務員は3つのタイプのいずれかに配属することになります。
国内特許事務➤日本のクライアントが日本で特許等を取得するお手伝いをします
外国特許事務➤日本のクライアントが外国で特許等を取得するお手伝いをします
外内特許事務➤外国のクライアントが日本で特許等を取得するお手伝いをします
国内特許事務については過去記事で解説しています。
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特許事務所の仕事内容を業種別に徹底解説
続きを見る
外国特許事務についても過去記事で解説しています。
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外国特許事務の仕事内容をわかりやすく解説します
続きを見る
本記事では外内特許事務について解説していきます。
外内特許事務の仕事内容
外内特許事務
外国のクライアントから依頼を受けた外国の特許事務所からの要請によって、日本の特許庁に特許などを出願をサポートする
外国(内外)業務では、特許庁への書類の提出は現地の代理人に任せていました。
一方、内外業務では、現地の代理人・クライアントに代わって、日本の特許庁へ書類の提出などを行います。
このため、外内特許事務の仕事内容として主なものがあります。
・日本の特許庁の提出期限の管理
・日本の特許庁への書類の提出(オンライン出願の手続きも含む)
外内特許事務の仕事は、国内特許事務の仕事と基本的に変わらないですが、大きく異なるのは、
「日本語でのやりとりが可能な代理人からの依頼以外は、出願依頼はすべて英語で届くこと」
です。
英語表記から日本の願書を作成しないといけない
このため、英語の表記に基づき、日本の願書を作成することが必要になります。
アメリカやイギリスなどの英語圏でしたら、会社や発明者の名前、住所をカタカナ表記することはある程度できますが、それ以外の国は、インターネット検索などあらゆる手を用いて、その言語での発音に近づけたカタカナ表記を作成することがまず必要になります。
例えば、Michaelという名前の方がいたとして、アメリカの方でしたら「マイケル」ですが、フランスの方でしたら「ミッシェル」、ドイツの方でしたら「ミカエル」と、表記を変えることもあります。
住所のカタカナ表記は、Googleを用いて、国名をカタカナで、対称となる州や都市名を言語表記で、検索して探します。
例えば、オランダのLimbrichtという場所を探す場合は、Googleで「オランダ Limbricht」と入れることで、リンブリヒトという都市名を得ることができます。
ただし、残念ながら、国名の直前(英語表記で。日本語だと国名の直後)に来る場所名にしかほぼ使えないです。
それ以前の道路表記などは、その国の言語に沿って、発音を文字通りひねり出しています。
このように、外内特許事務は、国内特許事務と比べると負担が大きく注意すべきことが多いです。
以下では、外内特許事務の仕事で注意すべきことをさらに解説していきます。
外内特許事務の仕事で注意すべきことは!?
①出願報告
②特許庁の通知
③特許査定の報告
順番に解説していきます。
①出願報告
国内のクライアントの場合、出願書類は全て日本語のままで送ればよいですが、外内の場合は、外国のクライアントは日本語が読めない場合がほとんどですので、ある程度英語で説明してあげる必要があります。
例えば、願書の英訳、電子受領書の英訳など、定型化されているものの、毎回中身をアップデートする必要がある書類を出願報告ごとに作成しなければなりません。
特許事務所が使用しているデータベースによっては、定型文書を英語で作成できるものもありますが、そういう機能がないデータベースの場合は、Wordでひな型を作成しておいて、変更しなければならない箇所を、「置換」で変えていくことが、一番間違えが少ないと思います。
「置換」で変えていくやり方はこちらの記事が参考になります。
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特許事務の書類作成のミスを防ぐ裏技【無料テンプレートつき】
続きを見る
②特許庁の通知
また、特許庁からの通知も、ある程度英語に翻訳しないと、外国のクライアントにその意味が伝わらないため、単に通知と応答期限を報告するだけではなく、ある程度内容の翻訳も必要となります。
特に、拒絶理由通知については、事務所によってまた外国のクライアントによって差異はありますが、少なくとも拒絶理由については、応答期限と共に知らせることが多いです。
このため、拒絶理由通知で使用されている用語の英訳を知っておくことは重要です。
まず、使いやすいのは、特許実務用語和英辞典電子版で、特許用語について、英訳を検索することができます。
この特許実務用語和英辞典(特許庁技術懇話会)は出版もされており、出版された和英辞典の後半は、拒絶理由通知の起案例とその英訳が乗っているのでおすすめです。
③特許査定の報告
外国のクライアントの出願の場合、通知やコメントや指示内容など翻訳が必要となることから、日本の特許庁も国内のクライアントの場合と比べて、応答期限を長くとってくれることが多いです。
例えば、拒絶理由通知の場合、国内のクライアントは60日以内に応答しなければなりませんが、外国のクラアントは3か月の期限が与えられます。
ただし、特許査定の場合は、国内のクライアントと同じく、外国のクライアントも30日以内に特許料を納付しなければなりません。
このため、特許査定は早めに報告が必要です。
外内特許事務のまとめ
特許事務のタイプ
国内特許事務➤日本のクライアントが日本で特許等を取得するお手伝いをします
外国特許事務➤日本のクライアントが外国で特許等を取得するお手伝いをします
外内特許事務➤外国のクライアントが日本で特許等を取得するお手伝いをします
外内特許事務の仕事内容
・日本の特許庁の提出期限の管理
・日本の特許庁への書類の提出(オンライン出願の手続きも含む)
外内特許事務の中で注意すべきこと
①出願報告
②特許庁の通知
③特許査定の報告
外内特許事務の仕事は大変ですが、経験を積めば積むほど専門性が磨かれますのでぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
このブログではこれからもどんどん知財に役立つ情報を発信していきますのでご覧いただければと思います!