前回の過去記事では、特許事務では、①期限徒過と②発送ミスの2つのミスを防ぐことが重要であることのお話をしました。
詳しくはこちらの記事をご参考ください。
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特許事務は難しい?【たった2つのことに注意すれば簡単です】
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しかし、ダブルチェックは、どれだけ注意していても必ず一定の頻度でミスが発生しているのが現実です。
うちの事務所では、ミスが全くないと自信もって言える人は少ないのではないでしょうか?
そこで、「ダブルチェックでミスが防げる」という考え方は、そもそも間違いなのではないかという仮説を考えてみます。
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、特許事務員として17年間特許事務所で働いた経験があり、特許事務全般の仕事に詳しいです。
本記事は、これから特許事務所で特許事務として就職しようと考えている方や、特許事務員の方に参考になります。
特許事務のミスはダブルチェックで完全に防ぐことが難しい理由
特許事務のミスはダブルチェックで完全に難しい理由は以下のとおりです。
①チェックに向いていない人がいるため
世の中には、様々なタイプの人がいます。
昔務めていた特許事務所でも、一度のミスると次はミスらない人、何度も同じミスを繰り返す人がいました。
このため、ダブルチェック体制でもミスる人がいると結局は一人でチェックすることと変わらないためダブルチェック体制でもミスが起きます。
対処法
人によってミスのタイプは様々です。
ミスのタイプの傾向をつかみ、ミスする人に注意するか、あるいはミスしやすいところにもう一人が細心の注意を払うようにしましょう。
②チェックに向いている人でも、うっかり忘れることがあるため
普段ミスらない人でも、うっかりと間違うことがあります。
この人はしっかりしているから大丈夫だろうともう一人が安心してもう一人がチェックを怠ることもありえます。
こうしてミスが起きることもありえます。
対処法
ダブルチェック体制で一方がしっかりチェックをする人だからといって気を抜かないようにしましょう。
③残業などで注意力が下がるため
普段ミスらないですが、私も大きなミスをしたことがあります。
その日、同じクライアントで複数のPCT出願行ったのですが、図面をシャッフルしてしまって取り下げて出し直したことがあります。
PCT出願の庁費用は高いので大変な損害になりました。
自分では、しっかり確認したつもりだったのですが、その日は徹夜明けで注意力が散漫になっていたようです。
こうした残業などで注意力が下がる時は要注意です。
ダブルチェック体制になっていましたが、普段ミスらない人設定であったこと、似たような内容のPCT出願であったことから漏れてしまいました。
また、夏休み前や年度末の繁忙期になってくると、徹夜明けと同様に、注意力が散漫になりミスりやすくなります。
対処法
特許事務への遅くまでの残業を強いることは大きなミスにつながります。
特許事務所は、特許事務へ仕事を遅くまでさせすぎないことのケアが重要です。
特許事務のミスはダブルチェックで完全に防ぐことが難しい理由のまとめ
①チェックに向いていない人がいるため
②チェックに向いている人でも、うっかり忘れることがあるため
③残業などで注意力が下がるため
今回の記事は、私の経験だからの主観的な感想です。
これに対して、「正しいダブルチェックを行っていないからだ」と考える方もいると思います。
そこで次回は客観的な資料を根拠に仮説が正しいか考えていきます。