特許事務の仕事をこれまでに17年間しています。
特許事務以外にも得意の英語を活かして特許翻訳やOA対応まで担当しています!
クライアントへの書類の発送ミスが多いなあ・・・
ミスを防止する方法を教えてほしいな。
こうした疑問に答えます。
特許事務の仕事の中でも、クライアントへの書類の発送はミスが許されない業務ですが、毎年数件以上ミスをしている特許事務所も多いと思います。
そこで、今回の記事では、特許事務向けに発送ミスの防止対策について解説していきます!
本記事の内容
発送ミスが起こる原因 発送ミスのタイプ 各タイプの防止策
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、特許事務員として17年間特許事務所で働いた経験があり、特許事務全般の仕事に詳しいです。
本記事は、これから特許事務所で特許事務として就職しようと考えている方や、特許事務に入って経験の浅い方に参考になります。
本記事を読めば、特許事務に大切なことは何かわかるとともに、難しいというイメージがなくなりますよ!
発送ミスはなぜ起こるのか!?
ほとんどの特許事務所では、クライアントへの発送(郵送)業務は上の図のようなステップを踏んでいます。
①書類作成
②特許事務員によるダブルチェック
③発送
しかし、どれだけ注意しても発送ミスは毎年数件は発生しているのではないでしょうか。
ダブルチェックの徹底化は、不適切な再発防止策
発送ミスが起きてしまう大きな落とし穴は、「ダブルチェックの徹底化」です。
ダブルチェックを徹底化しても、ミスが防止されにくいことは過去記事でも解説しています。
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特許事務のミスはダブルチェックだけで防げない|理由と代替法
続きを見る
人間は、どんなに注意してもミスを起こします。
そのため、「担当者の教育とダブルチェックの徹底化」だけでは、「言っているだけ」にとどまってしまうため、またミスを起こすリスクを排除できず、有効な再発防止策とはいえないでしょう。
なお、本記事では、ダブルチェックを完全に否定するものではなく、ダブルチェックの徹底化は大前提という考えです。
ダブルチェックでミスを減らすためには
ダブルチェックの効果を最大限に発揮させるためには、「社会的手抜き」を発生させない工夫が重要です。
社会的手抜き(リンゲルマン効果)とは
ヒトに、多重チェックを行うと一人当たりの責任が薄くなり、「自分がミスっても誰かが止めてくれるだろう」という心理が働くこと
具体的には、以下の方法が考えられます。
(1)送付状に「発行者」と「チェック者」を実名で記入する欄を設ける
これにより社会的手抜きの他社依存度が下がり、発行者もチェック者も責任をもって内容をよりチェックする傾向になります。
(2)先輩の仕事のチェックを後輩にやらせない
先輩(上司)の仕事を部下(後輩)がチェックする体制を避けます。
先輩に遠慮してミスを指摘しずらかったり、「先輩の仕事だから間違いがないだろう」とチェックが甘くなったりします。
この結果、他者依存が高くなります。
(3)異なるチームにチェックさせる
同じチーム内でのダブルチェックは避けましょう。
別のチームにチェックさせると効果的です。
例えば、「国内事務チーム」の書類を「外国事務チーム」がチェックするなどが挙げられます。
本来は担当ではない異なるチームにチェックをさせることによって、「こんなところは間違わないだろう」という見落としてしまいがちなミスを防ぐことができます。
(1)~(3)の効果
ミス発見の確率は高くなりますが、ミスの発生率そのものは変わらないでしょう。
このため、ミスの発生率を低くするには、他の防止策を立てることが有効です。
そこで、ダブルチェック以外の防止策を解説していきます。
ダブルチェック以外の防止策は!?
発送ミスのタイプと対策
タイプによってたてる対策も異なっていきますのでミスのタイプをまずしっかりと知っておきましょう。
①封入した書類の宛先が異なる。
②袋詰め作業時に別書類が混入する。
各タイプの対策を解説していきます。
書類の宛先が異なるミスの対策
封入した書類のあて先(ラベル)が異なる、という誤発送を防ぐ対策として、窓付き封筒を用意するのが有効です。
印刷した書類を正しく織り込めば、封筒の窓に書類に記載されたあて先が見えるようになります。
こうすると、封筒にあて先を書いたり、あて先ラベルを貼ったりする手間も省けるので効率化にもなります。
特許庁からも届く書類も窓付き封筒になっていますね。
別書類が混入するミスの対策
別書類の混入は、プリント中に別の書類が混ざったり、封筒へ袋詰めする際に混ざったりすることが考えられます。
「留め置き機能」は、パソコンから文書を印刷するときに、印刷データを複合機内にとどめてすぐに印刷されない機能です。
これにより、プリント中に別の書類と混ざることを防止できます。
「フィニッシャー機能」は、プリント書類が自動でクリップやホチキス止めされた状態で出力される機能です。
これにより、袋詰つめ中に書類がばらけることを防止できるので別の書類の混入を防げます。
さらに、プリントをRPAに任せると、プリント時のヒューマンエラーも防げます。
特許事務にRPAを導入することは過去記事でも書いています。
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特許事務におすすめのRPAを紹介【徹底比較】
続きを見る
発送を代行業者に任せることも有効です
「留め置き機能」や「フィニッシャー機能」を有するプリンターは、非常に高価なため、小規模事務所が導入することは厳しいかもしれません。
そういう場合は、発送を専門業者に委託することも有効です。
発送代行業者は発送のプロで業務体制も整っているため、誤発送が滅多にありません。
特許事務の発送代行業者はそれほどないですが、株式会社ジムウインでは発送の代行サービスも提供しています。
発送ミスの対策方法のまとめ
ダブルチェックでミスを減らすためには!?
(1)送付状に「発行者」と「チェック者」を実名で記入する欄を設ける
(2)先輩の仕事のチェックを後輩にやらせない
(3)異なるチームにチェックさせる
発送ミスの主なタイプ
①封入した書類の宛先が異なる。
➤窓付き封筒を用意する。
②袋詰め作業時に別書類が混入する。
➤「留め置き機能」「フィニッシャー機能」を利用する
➤発送業務を外注する。株式会社ジムウインでは発送の代行サービスなど
このブログではこれからもどんどん特許事務に役立つ情報を発信していきますのでご覧いただければと思います!