特許事務の仕事をこれまでに17年間しています。 特許事務以外にも得意の英語を活かして特許翻訳やOA対応まで担当しています!
「日本の特許証とは?」
「日本の特許証と外国の特許証の違いは?」
本記事は、こうした疑問をもっている特許や特許事務の仕事に興味のある方、特許事務所の所員の方に参考になります。
本記事の内容(意外に知られていない以下の2つのこと)
・日本の特許証とは? ・日本と外国で特許証はどう違うの?
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、特許事務員として17年間特許事務所で働いた経験があり、外国特許事務に詳しいです。
なお、商標登録証については過去記事で書いています。
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商標登録証とは!?役割と国内外との違いについて徹底解説
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日本の特許証とは
日本の特許証は、商標登録証と同じく、権利として登録されたことを示す証です。
特許証がないと権利者であることを主張できなくなるわけではありません。
商標の場合とは異なり、特許第 1 号として堀田瑞松の「堀田式. 錆止め塗料とその塗法」から特許証が発行されております。
その登録は、明治18年(1885年)8月14日です。
下の図は特許第1号の特許証の写真です。
引用元:https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2015/document/index/honpenboutou.pdf
これは特許公報のようですが、引用元の特許庁の記事で「特許証」と書いているので、その時代はこれが特許証だったのでしょう。
日本では、特許証と商標登録証は、同じような形式をとっています。
今の形式になったのはいつからなのでしょうか。
昭和49年5月発行の特許証を見たことがありますが、ほぼ現在と同じようなものでした。
もちろん、発行された当時ではありませんよ?
同じような図案で、特許証は黄色い紙に、商標登録証は白い紙に印刷されています。
特許証のイメージとしては上の図のような感じです(特許庁のウェブサイトより引用。)
日本と外国で特許証はどう違うのか!?
外国では、商標登録証と特許証は全く別の形式をとる国も少なくありません。
ここでは外国のいくつかの特許証を紹介していきます。
アメリカの場合
アメリカは、特許証と特許公報が一緒に製本された形を取ります。
このため、特許証(というのか、製本の表紙)は、全員が同一のもので、特許番号などの記載もありません。
この表紙をめくると、中に特許公報があり、そこで特許番号などを確認することができます。
番号など特定できる情報のない特許証は、少し寂しい気もします。
引用元:https://10millionpatents.uspto.gov/
このデザインになったのは、2018年からで、アメリカの特許番号が10,000,000に達成してからです。アメリカの特許証の変遷は、アメリカ特許庁のサイトをご覧ください。
1790年のものからサンプルを見ることができますよ。
直前のデザインは、金色のシールと赤いリボンが特徴でした。
引用元:https://10millionpatents.uspto.gov/
商標登録証は、日本と同じく、1枚の表彰状のような形態です。
中国の場合
中国は、日本と同じように1枚の表彰状のような形態をとりますが、特許証と登録証では異なったデザインを取ります。
特許証は、昔はアメリカ同様製本形式でしたが、数年前に1枚の特許証に変更になりました。
欧州の場合
欧州も1枚の特許証ですが、特許公報と同時に送られてくることが多いです。
なお、欧州の商標登録証は、電子のみです。
特許証を電子データで発行する国
電子データで発行する国も多くあります。
例えば、インド、シンガポール、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランド、などがあります。
ただし、紙での発行を請求することもできます。
時代の流れとはいえ、また実際には権利の証明にはならないとはいえ、政府が発行した証書が手元にないのは少し味気ないです。
特許証のまとめ
以上のように、日本の特許証と、日本と外国で特許証はどう違うのか解説しました!
本ブログでは特許事務に役立つ情報を発信していますのでぜひご覧いただければと思います。