特許事務の仕事をこれまでに17年間しています。
特許事務以外にも得意の英語を活かして特許翻訳やOA対応まで担当しています!
こんな悩みを解決しています。
外国のクライアントが日本で商標をとりたい場合、または日本のクライアントが外国で商標をとりたい場合、指定商品の和訳や英訳をする必要があります。
その際に頼りになるツールを今回は紹介します。
今回の記事を読めば、商標の指定商品役務の英訳を簡単に作る方法がわかります。
本記事の内容
・商標検索を特許庁サイトでやる方法
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、特許事務員として17年間特許事務所で働いた経験があり、特許事務に詳しいです。
こんな読者におすすめです
特許事務の仕事に興味のある方
特許事務で商標を担当している方
商標の指定商品役務を簡単に英訳する方法
商標の指定商品の英訳のためにまずはJ-PlatPatを使うのが便利です。
J-PlatPatの商標の「商品・役務名検索」では、日本語で商品名・役務名を入れて検索します。
検索結果のうち、「基」「N」「T」「M」と書かれたもの(下の赤い枠)については、英語での商品名(下の青い枠)が表示されます。
「基」・・・日本特許庁が発行する「類似商品・役務審査基準」に記載されているもの
「N」・・・ニース分類(商品・サービス国際分類表)を意味します
「T」・・・TM5 IDリストを意味します
「M」・・・WIPO Madrid Goods and Services Managerを意味します
英語の商品名・役務名は、特許庁が英訳したものです
外国に出願する商品名・役務名の英訳を探している場合は、同じ商品・役務名について、「N」「T」「M」があれば、そちらを採用することをおすすめします。
J-PlatPatは英語でも検索できます
使用する言語を「英語」にすることで、英語の商品・役務名を入れて検索できます。
ただ、その際に気を付けなければいけないのは、商品・役務名のフィールドは、スペースを入れて複数の単語を入れることで、OR検索(記入した複数の単語のうち、1つでも含まれているもの全てを検索結果として返す)になってしまうことです。
例えば、前回も用いた「葬祭用具」の場合、1つのフィールドに「ritual」、+追加ボタンを押して追加したフィールドに「equipment」を入れないと、「ritual equipment」の入った商品・役務名の結果は得られません。
検索のコツは過去記事で解説しています。
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特許庁の商標検索のコツを徹底解説します
続きを見る
WIPOのサービスを利用する
商標の指定商品の英訳のために、J-PlatPat以外におすすめなのが、WIPOが提供する「Madrid goods and services manager」です。
これは、日本語で検索した商品・役務名を英語に翻訳することも、その英語表記がどの国で採用可能かも調べることができるとても優れたツールです。
最近、WIPOのホームページが新しくなり、直接のリンクが貼れなくなりました。
WIPO IP Portalの上部のMENUを選択します。
次に「MARKS」を選択し、その中にある「Madrid Goods and Services Manager」を選択します。
すると下の図のような画面になります。
まず①右上に「ENGLISH」と書かれたところがありますので、そこをクリックすると、ベースとなる言語を「日本語」に変えます。
次に、②「指定商品」「指定役務」を検索します。
ここでは、「葬祭用具」を検索すると結果がありません、となってしまいますので、「手品用具」にしてみます。
そうすると1件検索結果が出ました。
出てきた「28手品用具」をクリックすると、右手の広い部分にそのワードが追加されます。
そしたら、③右上の「翻訳…」から「英語」を選択すると、その英訳が出てきます。
また、元の画面で、「指定締約国における受入れの可否」を押すと、国名を選択する画面になりますので、必要な国にチェックマークを入れて戻ると、その国で受け入れられるかどうかが色分けでわかるようになっています。
「アメリカに出願する場合に確認すべきサイト」
最後に、とても特殊な国であるアメリカに出願する場合に確認すべきサイトを紹介します。
アメリカは、日本のように幅広い商品名・役務名は拒絶の対象になります。
例えば、コンピュータソフトウェア、といった幅広い指定はできず、「何のための」という限定が必ず必要になります。
このため、Trademark ID Manualで、採用されている商品名・役務名かを事前に調べることが推奨されます。
例えば、「computer software」と検索してみると、数多くのものがヒットしますが、その中で「Computer operating software」は、2019年1月1日に削除され、適用不可になった、とあります。
このように、幅広い商品名・役務名は、削除される傾向にあります。
商標検索を特許庁サイトでやる方法のまとめ
以上、商品名・役務名の英訳を作成するときに使用できるツールを3つ、駆け足ですが紹介しました。
いずれ、細かな検索方法・検索結果の見方などを説明できればと思います。それまで、これら3つのツールを使用し始めるのに今回の説明が少しでも役に立てれば幸いです。
このブログではこれからもどんどん知財に役立つ情報を発信していきますのでご覧いただければと思います!