ドクガク先生のブログ企画の季節がやってきました。
今年も「弁理士の日記念ブログ企画2021」に参加させて頂きます。
久々のブログ更新ですね。ぜひ、これを機会に更新頻度を上げたい!
今日は、どんな記事になりますか?
タイトルの通り、少しネガティブな内容になってしまうかも。
こういうある意味ネガティブな記事を書くかどうか迷ったのですが、逆にこのネガティブな状況が改善されれば良い未来が待っていると信じて書きます。
よろしくお願い致します!
本記事の内容
(1)特許事務は「専門性」が高い
まずは簡単に説明すると、知財業界、特に特許事務所で中心となる職種は、あたりまえですが弁理士です。弁理士は、企業が長い時間をかけて開発した発明を、特許としてその企業がある程度の期間独占できるように、技術内容をまとめて、明細書と呼ばれる書類を作成することがメインの仕事となります。
この明細書を、特許庁に所定の書式でもって、所定の印紙代を払うことによって、出願することで、はじめて特許を取得するための手続きが開始します。
こうした特許庁に対する手続きは、弁理士が自ら行う場合もありますが、多くの事務所では、特許事務という職種を設けて仕事を分担しております。このブログでも既にご紹介したように、特許事務という職業は、とても専門性が高いものです。
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特許事務所の仕事内容を業種別に徹底解説
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特許事務は、弁理士でなくても、専門知識が必須な業種です。
(2)「平均給与」が他業界よりも低い
特許庁に提出する書類は、全て厳格に形式が決まっており、満たさない書類は不備があったとして再提出を求められたりするため、細部まで細やかな気配りが必要になります。
また、出願等の手続の際に必要となる印紙代は、変わることもしばしばあり、常に情報をアップデートする力も必要になります。
更に、出願人であるクライアントとの窓口になり、クライアントからの様々なニーズに対応することも求められます。
このように、特許事務は高い専門性が求められる職種ですが、平均給与が他業界よりも低いのではといわれている職種でもあります。(専門性と給与とのミスマッチ)
現役世代も、ミスマッチ期間が長引くとモチベーションに影響しそう。
原因は、何でしょうか?
(3)「生産性」を上げにくい業種
ひとつは、特許事務所は、まだまだ構成人数が数人の事務所が多いことがあげられるでしょう。例えば、弁理士が1人か2人、特許事務が1人の事務所などの場合は、扱う件数がそれほど多くないため、給与が伸びにくいということがあるでしょう。
もうひとつは、特許事務の扱う範囲が広く、それでいて細かい作業が必要なため、生産性を上げにくいこともあげられるかもしれません。
上記のように、特許庁に提出する書類は記入内容などが厳格に決められていることから、一人の特許事務が作成した書類を、他の特許事務または弁理士が、提出用の紙などを用いて記入内容を目視でチェックしないと特許庁に提出できないという業務フローが定まっている事務所が大半です。
また、提出書類も、作成は、Wordへの手入力が中心など、ヒューマンエラーが起きやすい環境にある特許事務所が大半です。このように、精度を保ちつつ、業務速度を上げることがしにくい体制にあることが、特許事務の生産性を上げることが難しいことにつながっているのではないでしょうか。
ヒューマンエラー対策には、RPA等による自動化が有効ですよ!
(4)特許事務所の「IT化」が遅れている
生産性向上には、IT化が有効ですが、特許事務所ではIT化がなかなか進んでいないのが現状です。
特許事務所は、創業が古ければ古いほど、顧客の案件ごとのデータを紙(いわゆる包袋)で保存していることが多いため、案件に関する全てのデータを参照したいときには、その包袋を実際に取り出して見なければならない、ということがまだまだあります。
また、特許業界は、マーケットとしてはそれほど大きくないこともあり、専門のソフトウェアがあまり開発されていない業界でもあります。
特に、期限管理ソフトと呼ばれる各種手続きの期限を管理するソフトであって特許事務所に必須のソフトは、大規模な事務所は自前で開発している場合もありますが、それ以外の事務所はいくつかのベンダーのものを利用しております。
しかしながら、そのソフトは、期限管理に特化しているものが多く、それ以外の、特許事務の事務内容をサポートする内容までも含んでいるものはあまりありません。このため、書類作成も手作業が多く、ヒューマンエラーが起きやすい環境にある事務所が多数だと思われます。
(5)コロナ禍をきっかけに
一方、コロナ禍をきっかけに、特許事務所でもリモートワークを進める動きが加速しています。
こうした中で、従来でしたら、同じ事務所の中で、印刷した紙の内容を同僚にチェックしてもらい、上司のチェックを受けた後、出願手続きに進んでいたものが、例えばクラウドの中に保存したPDFを、複数人がチェックした上で、出願手続きに進むなど、紙を必要としない新しい業務フローへ移行しなければならなくなっています。
また、包袋をいちいち確認しなくとも業務が進められるよう、高いレベルでのデータベース化も求められてきております。
外的要因ですが、このリモートワークの普及をきっかけに、これまでの紙ベースの特許事務体制を転換し、手入力をなるべく省くようなシステム作りを進めることで、ヒューマンエラーの可能性を低減させ、特許事務の生産性を向上させることによって、最終的には専門性にマッチした形での特許事務の平均給与の上昇が実現することが期待したいです。
当社は、特許業務の自動化を得意としていますので、なにかサポートできればいいなと思います。
このブログではこれからもどんどん特許事務に役立つ情報を発信していきますのでご覧いただければと思います