外国の場合どうなるのかな?
今日は、「新規性喪失の例外規定」の外国事情を解説します。
前回は、日本における新規性喪失の例外に関する手続きについて説明しました。
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「新規性喪失の例外規定」の手続について解説!(特許・意匠)
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今回は、主要な外国(欧米中韓台)に出願する際に、新規性喪失の例外がどのように適用されるのかを簡単に説明します。
なお、ここでは、日本で新規性喪失の例外を適用した特許出願の場合を解説します。
本記事の内容
・日本と外国で「新規性喪失の例外規定」はどう違う?
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、特許事務員として17年間特許事務所で働いた経験があり特許事務に詳しいです。
猶予期間が長い順に紹介します。
①米国の新規性喪失の例外規定
一番長いのがアメリカです。
【猶予期間】 新規性を喪失した日から「1年以内」に基礎出願
【申請手続】 審査時に証明が必要(出願時の手続は不要)
「新規性を喪失した日」から1年以内に日本出願をしていれば、その後、パリルートの米国出願またはPCT出願は「新規性喪失の例外規定(グレースピリオド)」が適用されます。このため、米国出願の場合は、一番長い期間ですと、新規性を喪失した日から2年弱経っても認められることになります。また、グレースピリオドを認めてもらうためには、審査時に証明することが必要になります。
②台湾の新規性喪失の例外規定
次に長いのは台湾です。
【猶予期間】 新規性を喪失した日から「1年以内」に台湾出願
【申請手続】 指定期間内に「証明書」を提出
台湾は、「新規性を喪失した日」から1年以内に台湾出願することが必要となります。
つまり、新規性喪失の日から1年以内に台湾出願をしなければ、パリルートであっても「新規性喪失の例外規定」の適用を受けることはできなくなります。そのため、台湾出願を行う際には、「優先日」から1年ではなく、「新規性を喪失した日」から1年で期限管理を行う必要があります。日本とは、申請手続が異なります。
③韓国の新規性喪失の例外規定
次は韓国です。
【猶予期間】 新規性を喪失した日から「1年以内」に韓国出願
【申請手続】 出願時に「適用を受ける旨の書面」を提出
出願日から30日以内に「証明書」を提出
韓国は、台湾と同様に「新規性を喪失した日」から1年以内に韓国出願することが必要となります。
このため、韓国出願を行う際にも、怪訝管理は、「優先日」から1年ではなく「新規性を喪失した日」から1年で行う必要があります。申請手続は、日本とほぼ同様です。
④欧州の新規性喪失の例外規定
次は、欧州です。
【猶予期間】 新規性を喪失した日から「6月以内」に欧州出願
【申請手続】 出願時に「適用を受ける旨の書面」を提出
出願日から4月以内に「証明書」を提出
欧州は、「新規性を喪失した日」から6か月以内に欧州出願をすることが必要となります。
証明書の提出期限は日本よりも長いですが、出願期限は日本よりも短い点に注意が必要です。このため、新規性喪失した欧州出願の依頼があった場合は、完了するまでの時間が極めて限られてしまうケースが多く、翻訳文の手配などの段取が結構大変になります。
また、欧州では、新規性喪失の例外として認められる行為が「政府公認の博覧会」に限定されています。そのため、博覧会以外で新規性喪失してしまった場合は、新規性喪失の例外の適用を受けることが出来ないので注意が必要です。
⑤中国の新規性喪失の例外規定
次は、中国です。
【猶予期間】 新規性を喪失した日から「6月以内」に中国出願
【申請手続】 出願時に「適用を受ける旨の書面」を提出
出願日から2月以内に「証明書」を提出
中国は、欧州と同様に「新規性を喪失した日」から6か月以内に中国出願をすることが必要となります。
また、新規性喪失の例外として認められる行為も「政府公認の博覧会」に限定されていますので注意が必要です。
主要な外国(欧米中韓台)の「新規性喪失の例外規定」のまとめ
以上のように、外国で「新規性喪失の例外規定」の適用を受けるためには、国により、適用書面や証明書類の提出が必要になりますが、その提出期限も、30日~4か月以内と国によりバラバラです。
このように、日本で新規性喪失の例外を適用した特許出願について、海外への展開を考えている場合には、国により認められる期間や要件が大きく異なることから注意が必要です。このため、外国出願の可能性がある場合には、早めに現地代理人へ情報提供を依頼し、実際に外国出願が可能か、検討を進めることが求められます。
なお、ここで記載した内容は、このブログ記事の記載段階のものです。実際に新規性喪失の例外を適用した外国出願を検討するにあたっては、現地代理人からの情報を活用して進めてください。
このブログではこれからもどんどん知財に役立つ情報を発信していきますのでご覧いただければと思います!