特許事務

パリ優先権主張出願の手続について解説します。【外内】

沼グリコ
こんにちは沼グリコです。

悩んでいる人
外内案件を受任したけど、パリ優先ってどうやればいいのかな?

優先権証明書の手配ってどうやるのかな?

慣れていないからの書類作成が不安だな。

沼グリコ
今回は、「パリ優先権」を主張した出願方法について、わかりやすく解説します。

こんな悩みを解決します。

外国出願を基礎にしたパリルートの特許出願等について、必要な書類の書き方、提出のタイミングを紹介します。

・外国出願を基礎にした「パリ優先権主張を伴った日本出願」の手続方法がわかる。

・「パリ優先権主張を伴った日本出願」のDASのアクセスコードの書き方がわかる

本記事の信頼性

この記事を書いている私は、特許事務員として17年間特許事務所で働いた経験があり特許事務に詳しいです。

 

「パ優先権主張に伴う日本出願」の手続要件

 

パリ優先

 

「基礎出願の情報」を願書に記載して出願する。
  特許・実案: 優先日から「1年以内」

  意匠・商標: 優先日から「6月以内」

②「優先権書類(優先権証明書提出書、優先権証明書及び訳文)」を提出する。
  特許・実案: 優先日から「1年4月以内」
  意匠・商標: 出願日から「3月以内」

パリルートの日本出願は、上記①及び②の手続を行う必要があります。上記②は、基礎出願の出願国が優先権書類のデジタルアクセスサービス(以下「DAS」という。)に参加している場合は省略することができます。(商標は除く)

参加国は、特許庁で確認できます。

 

 

「パ優先権主張に伴う日本出願」の必要書類

①願書の記載

【書類名】           特許願
【整理番号】          63-B-1-B
【提出日】           令和 2年 4月 1日
【あて先】           特許庁長官殿
【国際特許分類】        A01B   1/00
【発明者】
 【住所又は居所】       ドイツ連邦共和国 10002 ミュンヘン,リューデスハイマー
 【氏名】           シンジ パテント
【特許出願人】
 【識別番号】         300000001
 【住所又は居所】       ドイツ連邦共和国 10002 ミュンヘン,リューデスハイマー
 【住所又は居所原語表記】   Ruedesheimer 10002 Muenchen,Germany
 【氏名又は名称】       シンジ パテント
 【氏名又は名称原語表記】   SHINJI PATENT
 【国籍・地域】        ドイツ
【代理人】
 【識別番号】         100000001
 【住所又は居所】       東京都千代田区霞が関3-3-5
 【弁理士】
 【氏名又は名称】       代理一郎
 【電話番号】         03-3123-4567
【パリ条約による優先権等の主張】
  【国・地域名】        ドイツ
  【出願日】          2020年 3月 1日
  【出願番号】         10 2020 018 017.2
  【出願の区分】        特許
  【アクセスコード】      △△△△
  【優先権証明書提供国(機関)】世界知的所有権機関
【手数料の表示】
 【予納台帳番号】       123456
 【納付金額】         14000
【提出物件の目録】
 【物件名】          明細書     1
 【物件名】          特許請求の範囲 1
 【物件名】          要約書     1
 【物件名】          図面      1


手続はインターネット出願ソフトで行う。

願書に【パリ条約による優先権等の主張】の欄を設けて、基礎出願の内容を上記のよう記載します。【出願番号】は、国ごとに記載方法が異なります。特許庁で確認できます。【出願の区分】は、基礎出願が実用新案の場合「実用新案登録」、意匠の場合「意匠登録」と記載します。

 

<実用新案>

  【出願の区分】        実用新案登録
  【アクセスコード】      △△△△
  【優先権証明書提供国(機関)】世界知的所有権機関

<意匠>

  【出願の区分】        意匠登録
  【アクセスコード】      △△△△
  【優先権証明書提供国(機関)】世界知的所有権機関

メモ

基礎出願が「台湾」の場合は、DASではなく「2国間PDX」で優先権書類の提出を省略できます。その場合、【優先権証明書提供国(機関)】に「台湾」と記載します。

 

 

 

②DASのアクセスコード

DASのアクセスコードは、現地代理人から入手してください。

例:基礎出願が米国の場合(出典:特許庁)

メモ

基礎出願が米国出願の場合、以下(1)及び(2)のいずれかが要件になります。
(1)当該米国出願が既に公開されているもの
(2)米国特許商標庁に対して、電子的交換の権限が付与されているもの
・[Permission to Access Application via Priority Document Exchange]の欄が[Yes]であること。
・[IF Required, Foreigen Filing License Granted]の欄に日付が入力されていること。

 

 

③優先権書類

DASのアクセスコードが入手できない場合は、「優先権書類」を所定の期間内に提出する必要があります。

【書類名】     優先権証明書提出書
【提出日】     令和 2年 4月20日
【あて先】     特許庁長官殿
【事件の表示】
 【出願番号】   特願2020-499999
【提出者】
 【識別番号】   300000001
 【氏名又は名称】 シンジ パテント
 【代理人】
 【識別番号】   100000001
 【氏名又は名称】 代理一郎    印 又は 識別ラベル
【提出物件の目録】
 【物件名】    優先権証明書     1
 【物件名】    優先権証明書(訳文) 1

優先権証明書(訳文)

△△△国特許商標庁

出願番号  10 2020 018 017.2
出願日   2020年3月23日

特許商標庁長官の授権による
_______(署名)
認証官

手続は紙書面で提出する。

 

必要な書類は、以下の通りです。優先権証明書(訳文)は、出願日と出願番号が特定できる範囲で大丈夫です。

(1)優先権証明書提出書

(2)優先権証明書(訳文)

(3)優先権証明書(現地代理人から調達)

 

 

優先権主張に伴う日本出願」の手続のまとめ

以上のように、「パリ優先権主張に伴う日本出願」は、「DASのアクセスコード」がわかれば優先権書類の提出を省略することができるので簡単に手続ができます。

また、優先権書類を提出することになっても、無料の書類ひな形はこちらから入手できます!
>>書類ひな形-パリ優先権主張出願(準備中)

「優先権書類」のまとめ

DASのアクセスコードを入手すれば、優先権書類の提出を省略できるので簡単です。

 

次回は、PCTのパリ優先をご紹介します。

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